レン持っていることを意識させない、
軽やかに寄り添う「纏うバッグ」
レンのバッグをひと言で表すなら、「纏うバッグ」だろう。
使いはじめから身体を沿うように優しく寄り添い、まるでバッグを纏っているかのような気分にさせられる。まさに「持っていることを意識させない、存在を主張しない」というブランドコンセプトを体現しているともいえる。それを可能にしているのが、レンの代名詞素材にもなっているピッグスキン。日本で原皮を確保し、東京のタンナーで仕上げられたオリジナルだ。ブランドを設立した2005年頃、豚革は靴やバッグの裏地で使われるような脇役的な存在だったという。当時はキズや色ムラのない、きれいな表面感のひと目でクオリティがわかる牛革が高く評価されていた時代。それゆえにバッグの顔ともいえるメイン素材に、豚革を採用するブランドもほとんどなかった。確かに色ムラや傷が多く、色落ちがしやすいなどの欠点がある。でもレンはそれをひとつの個性としてとらえ、それよりも豚革の持つ軽さやしなやかさ、密度が高くて丈夫といった美点に着目。さらに牛革に比べると安価ゆえ、自分たちが納得できるバッグをリーズナブルに提供できることも、ピッグスキンを採用する決め手になった。
人間がそうであるように、動物も個体によって肌の状態が異なるもの。化粧をするかのように表面のキズやシワなどを均一にすることもできるが、レンはあえて素上げ革を使用している。これは染色した後に着色剤や仕上げ剤などの薬品をほとんど使わない仕上げのことで、スッピンの革の状態に限りなく近い。だからこそ革本来のナチュラルな風合いや個性を存分に味わうことができ、それらがシンプルなデザインのスパイスになり、絶妙な存在感をもたらせてくれるのだ。
ちなみにレンが扱っている素材は、牛や羊、水牛といった豚以外の革も、その魅力や個性を活かしてナチュラルな風合いに仕上げられている。さらに色も独特で、水彩絵の具で染めたような色合いをイメージしている。これも季節や革の天日の状態で色の入り方も変わってくるので、その都度微妙に異なる発色になるという。つまり、ピッグスキンの風合いも色の入り方も同じモノがない、一点モノともいえるのだ。
レンのバッグは軽い持ち味というのも魅力のひとつ。ピッグスキンを使用しているのはもちろん、それは金具や裏地などを省いて見た目同様につくりもシンプルだからでもある。金具はデザインアクセントになることもあるが、取り入れるほど重くなってしまう。それは裏地も然り。さらに裏地の場合は省いたことによるメリットもある。構造がシンプルになり、なにかあったときに修理がしやすくなるということだ。
荷物を出し入れする際、一枚仕立てだと摩擦によって生じる毛羽立ちが気になるところだが、ピッグスキンは繊維の密度が高いのでその心配がない。また、内ポケットなどの内部収納も最小限に仕上げている。つくりを簡素化することで結果的に軽くなり、さらには価格までも抑えられるのだ。
これまで脇役的な存在だったが、レンによって価値が見出された豚革。その魅力をダイレクトに楽しめるように、極限まで削ぎ落としたシンプルなデザインに落とし込んでいる。なにかと多様性が叫ばれている昨今。キズがあっても色ムラがあっても、それは欠点ではなく個性であり、いろいろな表情の革があっていい。
いってみれば、レンは革の多様性を提案しているようにも感じさせる。そして洋服を纏うような感覚で取り入れられるバッグは、主張は控えめながらも持つ人の人生に優しく寄り添っていく。
こだわりの豚革と発色で、
女性らしく柔らかなレザートートに
細かいアップデートを重ねながらブランド立ち上げ時から作り続けている、レンを代表するトートバッグ。オリジナルのピッグスキンはとにかく軽く、それでいて密度が高いゆえに薄くても丈夫なので、日用品としてガシガシ使うことができる。柔和な発色が絶妙なピンクベージュは、ピッグスキンと相まって見た目にも軽やかな印象。
内装はポケット1つのみのシンプルなつくりになっており、どう使うかは購入者に委ねているところも潔い。オールレザー製ながらもくるくると小さく丸めることができ、かつ型崩れする心配もないので、サブバッグとして持ち歩くのもおすすめ。
REN ランチバッグM / ピッグスキン・ハリー
- 素材
- 豚革
- 価格(税込)
- ¥19,250